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《adroad alternate》のPLGaramの作戦本部(?) 燃える物を集めて何事か企んだり、PCの設定を練ったりと、AAでの生活の拠点になる(予定)のblogです。
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プロフィール
HN:
Garam
年齢:
35
性別:
男性
誕生日:
1990/06/09
職業:
大学生
趣味:
中世,RTS,チェス,読書,TRPG,なりちゃ,料理,映画
自己紹介:
好き:
・なりちゃ、TPRG(徹夜も辞さぬ!)
・中世ヨーロッパ&トールキン的ファンタジー
・混沌としたものと同時にほのぼのとしたものも好き
・亜人種バンザイ
・甲冑大好き
・戦術的な頭を使うゲーム(戦略は苦手)
・好きなゲームはMount&Blade,Company of heroes
・ロマンがあるのはWWⅡまでだと思っている
・騎士道はロマン

嫌い:
・ヌルゲー、能力インフレゲー
・ファシズム
・辛い物
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という病気を発症したんだ。

冗談はさておき、いつもなら一番体調が悪いのがこの時間帯なんですが、今日は逆に調子が良いです。
昨日まで暑かったのが、今日は昼を過ぎても気温が上がらなかったおかげでしょうかね。
なんにせよ元気になればリビドーが溢れてくるというもの。
フォースの英国面をふんだんに爆発させたいと思います。

マズ間違いなく続かないエネルギーなので、設計段階から超掌編と定めます。


んーむ、戦闘を書きたい。
腕を振り回し、足は後退しながらもひたすら撃ち続けるような戦闘を。

登場人物は味方側がせいぜい3人、敵側は1人が限界だろうか。
世界観は……んー、架空近代。アームストロング砲と装甲飛空船の時代。
主人公:まじめな少年、超がつく貧乏艦長
じい:変態的な意味での英国紳士
護衛対象の貴族少女:ドS

うーむ、コレは酷い。

英国をモチーフ、ならば敵はドイツであろう。

敵将:デザートフォックスならぬ空の狐、天才肌、直感的な指揮、ただし変態。

よーし、シチュエーション。


アルビオン空軍所属、空挺フリゲート艦ソフィー号は遠征からの途上でとある殖民島へ寄港した。
しかし中立国ゲルマニアの突然の宣戦布告を受けソフィー号には本土への帰還命令が出される。
パーシヴァル艦長は即座に補給を済ませ、酒浸りの部下を酒場から船倉へ蹴飛ばすや帆を張り、風石をエンジンに放り込んですぐさま出航を決意する。
あわよくば戦争のドサクサで敵艦を拿捕し、たんまり賞金を得て貧乏からの脱出を図ろうとたくらんでいたのだが、出港準備を進めるソフィー号へ猛然と近づく一台の馬車。
降り立つは一見可憐な貴族令嬢、しかし二本の足で立ち、自信に満ちた傲慢な口調で彼女は言う。
「わたくしを本土へ送り届けなさい!」
大貴族の令嬢が軍艦に乗るなどありえないことである。
しかし、敵軍の脅威が迫る中、本人の要請を無視して置いてけぼりにしたとあれば首が飛ぶ。
逆に軍艦に乗せて、ソフィー号が撃沈、拿捕されて彼女が危険にさらされても首が飛ぶ。
ましてや欲をかいて敵艦を拿捕しようと彼女を危険にさらそうものなら以下省略。
頭を抱える艦長を他所に令嬢は召使を引き連れ、堂々と船室を占拠するのであった。

――アルビオン本土まであと4日の距離 アルビオン国南方の上空

「……僕はなんてついていない男なんだ。」
ソフィー号の甲板は働く男達の喧騒に包まれている。
それでも、舳先の一角は上空の澄んだ空気を最初に受ける場所とあって、快適だった。
艦長パーシヴァルは小柄な体躯を手すりに持たれて、遥か下方の雲海を力なく眺めていた。
「ふぉふぉ、若干19歳でフリゲートの艦長に昇進された方が何をおっしゃりますやら。若い士官がこれを聞いたらこぞって殴りにやってくるでしょうな。」
傍らに姿勢良く佇む執事然とした初老の男性が品良く笑った。
御年56のこの男は先代からパーシヴァルの家に仕える家令で、先代以来幾多の戦場を共に歩いてきている。
「そうは言うけどね、断っても駄目、承諾しても駄目、やっと煩く命令されない立場になったと思ったらとびっきり煩くて我侭な暴君にこき使われるときたもんだ。これが嘆かずに居られるかい。」
大げさに嘆いてみせる少年、貧乏ゆえに、艦長を示す肩の金モールは真鍮の表面に塗料を塗っただけの代物で、しかもそれも所々はげているあたりが悲哀を誘う。
そんな彼に家令はニヒルに笑って肩を竦めた。
「なに、貴方様もあと1、2年もすれば奥方をもらいましょう。そうなれば毎日が尻にしかれ……」
「残念。僕は父様みたいな過ちを犯すつもりはないよ。僕の好みは物静かな清楚な子さ!」
まるでコトダマを気にするかのように慌てて言う艦長に家令は楽しげに笑った。
「ハッハッハ、先代様もそのように申しておりましたなぁ。……まぁ、人を好きになるというのは理屈ではございませぬゆえ、そのときにならねばわかりませんが。」
言うや懐から靴下を取り出し、嗅いだ。恍惚とした表情になる。
「私などこれを始めて嗅いだときからぞっこんで……」
「――衛兵、衛兵、この変態を営巣にぶち込め。」
本気で衛兵を呼びかねない主を家令が眺めていると、背後に日傘を持った影が現れる。
「貴方達はいつも楽しげでよろしいですわねぇ……。」
上品に、けれどたっぷり皮肉を込めて笑うのは先ほどまで噂に上っていた貴族令嬢。
忍び足で逃げようとする艦長を他所に、家令は先ほどまでの変態的な表情を嘘のように潜めて美麗なお辞儀をする。
「これはこれはエリ様。見苦しいところをお見せいたしました。このようなところにおいであそばすとは、何か用命でもございましたかな。」
「えぇ、実はちょっとした用がございますの。」
ニッコリ、大層美しく微笑む令嬢。優雅な微笑にも関わらず異様な迫力を滲ませながら、

――ガシッ

「……こちらの艦長様に、ね。」
ミシミシ……、そんな擬音がしそうなほどな力で、逃げ出そうとする艦長の首根っこを片手で掴みつつ微笑みを維持する。一方の艦長はまるでキツネに捉まれたねずみのように怯えていて、
「い、いかがなさいましたかエリ様。しかし小官は艦の運営に関する火急の用件が……。」
「あらあら、そんなに忙しい方がココで!」
艦の舳先を指差し、
「私の悪口を言うお暇があるとは意外ですわぁ!」
ミシミシミシミシ……!
「き、聞こえておいででしたか」
「んまぁ!本当におっしゃっていたんですのッ!」
まんまと釣られて顔を青くする艦長。
ちなみに身長差では令嬢の方が20センチほど大きく、首根っこをつかまれた艦長のつま先は甲板から浮いている……。
「ま、まぁまぁ。それよりエリ様、艦長にご用件がおありなのでは。」
「えぇそうでした! 私の部屋の空調の調子がおかしいのですの。」
ソフィー号は風石を動力で燃やして航行する船である。補助動力として帆も用いるが、風石の出力はかなりのものでそれだけでも航行は可能、余った動力は艦内の空調に回し、一般船員の船室までは無理とはいえ、上級士官の客室は須らく空調が整えられている。
しかし令嬢が言うにはどうもその空調の調子が悪いらしい、今朝の士官会議では特に誰も気づかない様子だったが……。
「気のせい、ということはありませんか。」
ぶらーんと吊られながら艦長が尋ねる。威厳もへったくれもないが表情は真剣だ。
「いいえ、それはありませんわ。私たしかに異音を耳にしましたの。温度にもばらつきがありますし、汗ばんでしまいましたわ。私ちょっとした変化にも敏感ですの。」
人の感情の機微はわからないみたいですがね。
と口に出そうになるのを堪えつつ、しかし本当なら由々しき事態だ。
空調の不調はすなわち動力の不調であり、動力の不調は艦の行動能力を左右する。
事態を重く受け止めた艦長は機関長に調査を命じようと甲板に足をつけるが、その目的が果たせることは無かった。

「艦長! 下方2時の方向に艦影!」
「空兵、詳しく報告しろ。」
「はっ、艦影2……近海用高速フリゲートです。軍旗確認――ゲルマニア空軍艦です! レキシントン、及びレグニア!」
艦長は思わず零れそうになる舌打ちを堪えた。近海用高速フリゲート……長距離航行用フリゲートのソフィー号に対し瞬発力に優れ、砲門数もソフィー号が48門艦なのに対し62門艦、短距離航行においてはスピードで圧倒的にあちらが上だ。
「各員砲戦用意! ミスタ・ワイアット、クルーに銃とサーベルを配りたまえ!」
「アイ・アイ・サー!」
「ボロディン軍曹、空兵隊を甲板に集合させよ!」
「ヤー!」
唖然とする令嬢の腕から、まるで猫のようにするりと抜け出すや矢継ぎ早に命令を飛ばす。
先ほどまでのまったりした雰囲気はなりを潜め、幾多の砲火を潜り抜けてきた艦長の姿がそこにはあった。
「……これはこれは、旗色がまずうございますな。」
「グチを零すな。 僕たちは負けてはならないが、今日は一層負けてはならぬ。貴族の令嬢を守りきれぬとあれば――」
「沽券に関わりますかな?」
「……いや、予算が削られる。」
「――ほぅ!それは困りますな。ただでさえメシがまずいというのに。」
「うん、新兵が吐き出すくらいマズイメシが更にまずくなるんだぞ、想像できるか皆。」
「無理っすね。」
「人の食いもんじゃないっしょそれ。」
「神よー!お助けー!」
「……議会の連中は二言目には予算を削りにかかってくる、絶好の口実を与えるわけにいかん。――さぁ諸君!判ったら仕事に取り掛かりたまえ、明日の食事のために!」
『おぅ!』
戦闘前だというのに、皆ゲラゲラと笑いながら艤装についていく。
砲手長がガンデッキに陣取り、砲列甲板から48門の砲が次々と突き出されていく。
少年水兵が火薬を持って走り回り、それぞれの砲で砲口にスポンジを突っ込む音が響いた。
だらけた雰囲気を一変させキビキビと仕事に取り掛かるクルー達の豹変振りに圧倒され立ち尽くす令嬢であったが、艦長は彼女の前で優雅に礼をする。
「当艦はこれより戦闘態勢に移行します。まもなくここは鉄の弾が飛び交う戦場と化しますので、ご令嬢はロウアーデッキにてお待ちくださいますよう。 ――ミスタ・リキッツ! 彼女をご案内さしあげろ!」
「アイアイ艦長。 さ、こちらへ。」
リキッツが手を差し出す。しかし令嬢はそれに動揺した様子で艦長を見上げる。
本当に大丈夫なのですか。初めて戦闘に遭遇する彼女の不安が、言葉にせずとも伝わってくるのを感じ艦長は頬を掻いて照れくさそうに笑った。
「当艦のクルーはベテラン揃いです。私がヘマをやらかしてもしっかりフォローしてくれますよ。」
「――…私の、せいかしら。」
令嬢らしからぬ様子で唇を噛み、俯く。
彼女を乗せていなければ、わざわざ本土への最短ルートを通る必要もなく。
そもそもあの2隻は彼女の身柄を狙った可能性が高い。
令嬢の様子に艦長と家令は目を丸くした後、朗らかに笑った。
「いいえ、とんでもありません。我々の悪行は広く知られていることでしてね、ほら、あの船の艦長を御覧なさい。心なし怒りに顔を赤くしているようには見えませんか?」
「おぉ、あの男は懐かしい。半年前の航海でしたかな?我らに船を拿捕されて財産を根こそぎ奪われたのは。」
「はっはっは!結局賞金は本部に奪われたがね! ……いずれにせよ、貴女様がおきになさる必要はないのですよ、私達は戦う相手が居て初めて食べていけるのです。こなければ逆に困ります。」
「艦長の給金だけでは使用人の給料も払えませんからなぁ!」
「バラすな!恥ずかしい。」
本気で恥ずかしがる艦長。しかし二人の気配りに、令嬢は綻んだ表情でクスりと笑った。
笑われて目を見合わせる二人。
「――お邪魔してはいけませんわね。私も、私の本分くらいは心得ておりますわ。」
悠然ときびすを返し、リキッツの手を取る。パラソルをくるりと回して、優雅に膝を屈した。
「……ご武運をお祈りいたします。」
二人は崩れた敬礼と笑みを向けた。
「はっ、見事勝利してご覧に入れましょう。」


「……とは言ったが、流石に早いな。」
「左様ですなぁ、全くうらやましい限りです。」
「そうは言うがな、ソフィー号だって良い娘だぞ? 長距離航行の荷物をぎっしり詰め込んでいなければもっと早く動けるんだ。」
トップデッキ、操舵手の傍で艦長は望遠鏡で敵艦の機動を眺めている。
家令はその隣に佇み、次第に大きくなってくる艦影に目を細めた。
「見事な運動ですな。これは上手回しは苦しいですかな。」
視線の先、透き通るような空と雲海の向こうでは2隻の艦船が優美な曲線を描いて航行していた。白い帆は風をよくはらみ、雲の上をすべるようにして進むそれは船の統率の高さ、そして推進力の優秀さを物語っていた。
「……ん、恐らく先手を取られるね。逃げても一隻が退路を塞ぎ、それを避けようとすれば速度が落ちたところへもう一隻が接舷しにやってくる。」
「かといってこちらから仕掛ければ速力で勝る敵を捕らえるまで、相当な時間一方的に砲火にさらされますな。――ハッハッハ!八方塞とはまさにこのことですかな。」
「ふっ、全く僕たちはバカの見本だね。見ろ、僕の船のクルー達を。はした金で命を張り、今もこうしてわざわざ危険に飛び込もうとしている。だというのに、誰一人として嘆かないどころか皆楽しげだ、救いようがない。」
「――いかにも。であれば地獄の門番にも嫌われましょう。騒々しくて仕方が無いでしょうからなぁ!」
「違いない……とはいえ地獄の門番も自ら飛び込んでくる者を拒むほど狭量でもあるまい。然らば艦長としてはなんとか勝てる策をひねり出さなくてはな。」

トップデッキは戦闘前の狂騒に満たされたいた。砲を引き出す作業はほぼ終わったものの、火薬を配置したり空兵隊の軍曹が兵らを整列させて銃撃戦に備え激を飛ばし、砲手どもが来る砲戦に沸き立ち騒いでいる。
そんな中、飛びぬけて小柄な艦長は少々背伸びをしながら、凛と背筋を伸ばし一心に望遠鏡を覗いていた。となりでは家令が手を組みながら控えている。口元には上品だが厳格で、そして不敵な笑み。
「うん、やはり方法は一つだ。一方的に砲撃にさらされるのは……まぁ仕方ない。虎口にいらずんば虎子を得ず、これより当艦は敵艦に突撃する。目標はレキシントン続いてレグニア、この際小細工は無用だ、敵艦の予測進路にあわせ真っ直ぐに航行せよ。」
「アイアイサー!」
階下に控えていた掌帆長が元気良く応答し、次に部下を怒鳴りつけている。
家令はそんな様を心地よく眺めながら、艦長へ頷いた。
「では武器を取ってくると致しましょう。」
「頼む、やはり役に立ったな……食費を削ってまで購入した甲斐があったというものだ。」
「ははっ、業物のサーベルもただ壁に飾られるのでは不本意でありましょう、では。」
悠然とした動作で背筋を伸ばしながら家令がアンダーデッキへ消えていく。全力航行中の船は空中とはいえ気流の影響などを受け大きく揺れる、それでも揺れを感じさせない確かな足取りが彼の軍歴の長さと戦意の高さを思わせた。
「……、」
しかし一方で、家令が居なくなり、部下達がめいめいの作業に集中して自身に一切視線が来なくなったのを認識した艦長の表情が一瞬だけ曇る。この戦いでどれだけの部下が犠牲になるだろうか。そしてそもそも自分達は勝てるのだろうか……。
負ければ令嬢は敵の手に落ち、その身柄は家元に対する人質として政治交渉のカードにされるだろう。そうなればその責任が自分と部下に降りかかる……ただでさえ薄給で暮らす自分達に貯金などあろうはずはない。職を失えばその瞬間から乞食と同じレベルに転落する。
部下を死なせるやもしれぬ、必死で戦い生き残ったとしても、負ければ路頭に迷わせることになる……。
背筋が薄ら寒くなるのを肩を持ち上げて誤魔化しながら、彼は無理にも笑った。
――艦長が弱気を見せてどうなる。
「さぁ諸君!間もなくお待ちかねだ、サーベルは持ったか?マスケットの火薬は乾いているかッ! 砲手長、初弾観測は君に任せる。」
「ご信用、感謝の至り。」
砲列に控えていたスキンヘッドの砲手長が物騒な笑みで優雅な礼をする。
そして家令が立派なサーベルを手に艦長の前へ現れた、辞儀を一つ、優雅な所作でサーベルを差し出し、艦長が満足げな笑みを浮かべ頷きつつ受け取った。刀身を抜き放てば、太陽に反射し眩い光が目を刺激する。輝く刃を眺めながら、再び頷いた。
「うん……願わくばこの剣が朱に染まる機会を得られんことを。」
「フリゲート……砲戦距離ッ! 右舷よりレキシントン砲撃来ますッ! レゾニアは右舷を迂回し背面を狙う模様!現在航行中ッ!」
もはや望遠鏡を覗くまでもない。優美にして立派なゲルマニア艦の船体のタールが太陽に反射して鈍く光る、甲板上で駆け回る敵将兵、舵の傍には姿勢良く佇む、敵の艦長の姿も見えた。
「……ふっ、狙撃も恐れないか。船を預かるものとはそういうものだ――銃兵ッ!マスケットはまだ撃つな!今撃ってもどうせあたらん。」
その瞬間、空気を揺るがす轟音。レキシントン左舷の砲列が一斉に火を噴き噴煙で船体が隠れた。それを知覚した瞬間には幾発かの命中弾がソフィー号の横腹に衝突し、木材の破片が砲手たちに降り注ぐ。
「ぐぎゃあああああ!」
「ひぃぃ、足がッ! チクショウ俺の脚がぁああ!誰か砲をどけてくれ、誰かぁーッ!」
或る者は散弾のように飛来してきた木片に顔面を穿たれ、或る者は吹き飛んできた砲に足を潰されのた打ち回る。そんな地獄絵図の中で砲手長が手を組みながら悠然と歩く。
「びびるんじゃねぇ、タマ付いてんだろうが貴様ら。今は我慢の時だ、もうじき……的の方から俺達の前にやってくる、今は耐えろ。」
レキシントンは砲手長の管制を止め、各砲手の判断で撃ち方を始めた。断続的に降り注ぐ砲弾、張り裂ける横材……それは帆をずたずたに引き裂き、マストを一本折り、艦長が手を載せていた手すりを空のかなたへ吹き飛ばした。
その間にも互いの船は進み、まもなくレキシントンがソフィー号の右舷の前に進み出てくるだろう。
「ふ、ふふふ……生き残ったな。」
頬から血を流し、むせ返るような硝煙と血肉の臭いの中、白い手袋を煤で真っ黒にしながら艦長は拳を握った。
傍らでは場違いなほど涼しい顔で家令が頷いている。
砲撃の中でもペースを乱さず、部下の間を歩いていた砲手長が、待ちかねていたとばかりに怒鳴った。
「ィヨシッ!野郎ども反撃だ、リッチーズ!貴様の砲は3度上方へ修正、ほかは事前の指示通りにやれ!――合図と共に一斉に放つ……まだだ……まだだ……よしっ――…今だッ点火!」
凄まじい轟音、砲撃の衝撃で船体が一気に傾き、痛んだ木材が悲鳴のような軋みを上げた。
耳がバカになるような音の中、煙が視界と鼻を刺激するのを感じながらも目を見開き、命中を確認する間もなく艦長は手を振り、叫ぶ。
「取り舵一杯ッ! ――…ソフィー号をレキシントンの横腹にぶつけてやれッ!」
「アーイアイサーッッ!」
血まみれの操舵手が狂ったように叫び、一心に舵を回す。
化け物のように急激に回頭し、優美な名前に似合わぬ貪欲さでソフィー号はその顎でレキシントンのおいしそうな横腹へ喰らい付かんと直進する。
満身創痍のソフィー号が煙を上げながら突進してくるのを見て、慌てたのはレキシントン号の艦長だった。
いかんせんタイミングが悪すぎる、ソフィー号の万をじしての一斉射を受けた直後、さしもの熟練船員にも寸分の混乱が生じる……その隙をつかれた突撃。
「奴ら正気か……ッ!面舵一杯……敵艦をかわせぇッッ!」
空気を喰らって突き進むソフィー号の上で、艦長は崩れた手すりを壊れるほど強く握り締め、視線だけで人が殺せそうな強さでレキシントン号を睨み続ける。
そして――レキシントンが回避行動を取るや会心の笑みを浮かべた。
「ふ……ハハハハ!かかったぞ! ――機関長!このまま全身全速、操舵手ッ! レキシントンを素通りしレゾニアの後背部を襲う。ボロディン軍曹、待たせたな!いよいよ空兵の出番だッッ!」
「アイアイキャプテン!」
痛ましく穴が開き、風通しの良くなった甲板で砲手長もまた獰猛に笑う。
「フン、今まで散々撃ってくれたお返しだ。――通り抜けざまレキシントンに一斉射くれてやるッ!今度は左舷、用意――放てッッ!」
凄まじい衝撃、そして大きく船体が傾き戻る。
至近距離での一斉射撃、それも装甲材の限りなく薄い後部を撃たれた事でレキシントンに致命的な損害が続く。
「レキシントン! 後部風石機関損傷!」
「風石保管庫近くで火災発生――」
そして猛烈な爆発、爆風がソフィー号の甲板でも感じられた。
「風石に引火!誘爆した模様…ッ!」
4つある風石保管庫のうち一つが吹き飛び、機関にも重大な損傷が発生したレキシントンは炎を巻き上げながら操舵の自由を失い、あらぬ方向に風に流されながら進んでいく。
撃沈はしないだろうが、少なくともすぐ復旧できるような損傷ではない。目的は達成されたと艦長は注意をレゾニアに集中させる。
一方僚艦が戦列を離れ、背面を取り挟み撃ちにするはずだったソフィー号が僚艦を打ち破り、その影から直進してくるのを見てレゾニアは混乱のきわみにあった。
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